日本だけインフレに取り残されると医療がヤバい?

マイナー外科医です。

世界は緩やかにインフレーションが起こっています。そんな中日本は2%のインフレ目標を掲げていますが、達成しているとは言えない状況ですね。

正確に言えばインフレーションが起こったらヤバいというより、経済発展とそれに伴う適正なインフレがなければヤバい、です。

マイナー外科医の憶測が多分に入っているんですが、おそらく正しいんじゃないかと。

レムデシビルの値段

新型コロナがまだまだ流行している状況です。そんな中、治療効果があるといわれている治療法のひとつがレムデジビルです。

レムデシビルは米国医薬品企業のギリアド・サイエンシズ(GILD)が開発した薬です。しかしギリアド・サイエンシズは話題になるような薬を沢山開発しますね。2020年7月までマイナー外科医が保有するSPYDの組み入れ銘柄でもありました。

幸い、マイナー外科医はまだ使用するような状況にはなっておらず、実臨床ではどうかわかりませんが5日間で6回投与が標準的な治療法とのことです。

1回の治療費が決定しており、その価格は1回390ドルで計2340ドル、日本円にして約25万円になります。この価格に関して、新興国向けにはジェネリックメーカーに生産を委託し価格を抑えるようですが、先進国は一律共通とのことです。

日本では公費負担で、患者自身には費用負担が発生しないようになっています。さすが日本の公的保険。

ただ、ここからが問題なんです。

基本的に世界経済の発展に伴い緩やかにインフレーションが起こっていきます。特に新興国のインフレは目覚ましいですね。海外旅行に行く方は毎年費用が増えていくのを実感しているんじゃないでしょうか。

逆に経済停滞を起こしている国はバブル後の日本、トルコ等のようにデフレに陥りやすいです。世界から見て相対的にデフレであれば、その国の物価が安くなるので旅行しやすいですね。昨年まで日本の旅行客が急激に増えていたのは、観光地の魅力が増したことというよりは、単純に安くなっているからなんです。

インフレが毎年2%起こるとします。72ルール毎年2%であれば、36年後に現金の価値が半分になります。為替の影響を考えないで、もし世界が2%インフレが起こり、日本だけインフレ無しであったら・・・・。逆に日本だけ2%のデフレが起こっていたら・・・。

72ルール:「72」を金融商品の金利(%)で割れば、元本が2倍になるまでのおおよその年数がわかるというもの。2%なら36年、4%なら18年。

先進国には一律の値段ですが、現在の1回25万円の治療費なら日本はまだ支払う能力はあるでしょう。今後新規の治療薬が1回の治療当たり50万、100万となった場合、日本の公的保険で賄えるでしょうか。

世界の製薬会社

売上高でみてみると、日本の最大手の製薬会社は武田薬品工業、次に続くのは大塚HD、アステラス製薬、第一三共となっています。

ただし、世界ではロシュ(スイス)がトップで、その売上高は約618億ドル。以下、ファイザー(米)、ノバルティスファーマ(スイス)、メルク(米)、グラクソスミスクライン(英)と続きます。

武田薬品は2018年に6.6兆円をかけてシャイアーを買収、売上高が増加したため初めて10位内に入りましたが、それでも302億ドルとトップとは倍以上の差が開いています。

その例として、抗寄生虫薬(マラリアや、AIDsの合併症治療薬)であるダラプリムがあります。独占的に販売していたチューリング(米)、そして創業者であるマーティン・シュクレリは、なんと一晩で13.5ドルから750ドルと56倍にその値段を吊り上げました。だらプリムは経済の発展していない地域にこそ必要にもかかわらず、です。

まあシュクレリはその後オーストラリアの高校生に同じ薬効成分をもつ薬を開発され、世間の批判もあり半額に下げざるを得ませんでした。それでも元の28倍の値段です。

ちなみにシュクレリは「アメリカで最も嫌われる男」と言われていました。経営者としては凄いんでしょうけど、企業トップには倫理観もある程度必要なんでしょう。

この例は極端ですが、それに近いことが日常で起こっても不思議ではないです。中途半端に先進国であれば、海外の製薬会社は容赦しないでしょう。そして日本は先進国トップレベルから脱落しつつ(すでに脱落?)あります。

今後も新薬開発の場は海外がメインと考えていいでしょう。実際実臨床で新しいメカニズムの薬はほとんど海外発です。そんな中オプジーボは革新的でしたが。

製薬会社も、国内外問わずですが慈善団体ではありませんので利益を追求します。この国は貧乏だから安くしようか、などはコロナみたいに緊急を要する事態でなければ基本的にしないでしょう。また緊急を要してもしないかもしれません。

新薬だけではなく、手術に使う器具、検査キット、CT、MRIなどの検査機器といった医療で扱う大多数の製品が海外製品です。

3M(MMM)、J&J(JNJ)、GE(GE)などが有名ですが、いわゆるロボット手術、da Vinci Surgical Systemを開発したインテュイティヴ・サージカル(ISRG)もありますね。

対して国内企業で思いつくのはオリンパスくらいでしょうか。粉飾決算で話題になった当時、消化器内科の先生が内視鏡はオリンパス以外考えられないからあの会社は大丈夫、と言っていたのが印象的です。

日常的に内服する薬

レムデシビルのように1回限りであろう製品ならまだ問題が少ないかもしれません。ただ、降圧薬や、糖尿病治療薬、抗癌剤、抗菌薬など、長期にわたって使用する薬であればどうでしょうか。

  1. マヴィレット C型肝炎
  2. リリカ 鎮痛薬
  3. アバスチン 抗癌剤
  4. オプジーボ 抗癌剤
  5. キイトルーダ 抗癌剤
  6. ネキシウム 消化性潰瘍
  7. イグザレルト 抗凝固薬
  8. アジルバ 降圧剤
  9. リクシアナ 抗凝固薬
  10. レミケード 抗リウマチ薬

この内、マヴィレット以外はその疾患に罹患すれば半永久的に継続する薬です。特に降圧剤、抗凝固薬は一生もののことが多いですね。オプジーボ、キイトルーダなど、完治してもまだ止め時がキチンと定義されていない高額な治療薬もあります。

ちなみに薬価は1錠あたりの㎎数で変わりますが、1日1錠内服するとしてそれぞれアジルバは93.8~210.2円、イグザレルト364.1~517円、リクシアナ224.7~416.8円です。1つの薬で済む患者のほうがレアなので、現時点で1日あたり1000円は軽く超えます。

もし海外がインフレなのに日本だけついていけなければ・・・。

想像できますか?1日あたり数千円~数万円の薬を使用する患者が世間に溢れる社会を。それを支える公的な健康保険、すなわち税金を。全て国民の負担として返ってきます。

まとめ

あくまで今後の予想はマイナー外科医の妄想が入っています。でも的外れではないはずです。

ただ、ただでさえ高齢化に伴う医療費で国の財政が逼迫しております。これに薬剤費高騰が重なるともう大変です。

日本経済も今後もっと活性化して、世界に取り残されないようになってほしいですね。頑張れ、日本!!

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